ギャラリー(カレンダー) -Gallery-
弊社2023年カレンダー掲載の「CVESmap(立体斜度図)で見る世界の自然遺産」について、 解説を毎月掲載します。
*過去のカレンダー:2022年「日本の典型地形」の解説はこちら
カレンダー付属の赤青メガネ赤青メガネを通してご覧ください。
赤青メガネは5枚セット550円(税込)で販売しております。
CVESmapの情報は、パンフレットや当社WEBサイトをご覧ください。
・パンフレット:CVESmap(赤青立体地図)のご紹介(PDF)
・ショップ:手軽にご利用頂ける製品のご紹介
・データ作成:受託業務のご紹介
・ギャラリー:カレンダー以外の画像例
12月 折爪断層
11月 ルート砂漠(イラン)
イラン南東部に位置するルート砂漠は、イランの総面積の約10%を占める大砂漠です。
世界で最も暑い乾燥地の一つで、なんと70.7度の気温を記録したこともあります。
毎年6月~10月にかけて強風が吹き、土砂による浸食が引き起こされ「ヤルダン」
と呼ばれる大規模な風食地形が形成されます。その波上の尾根は宇宙からも認識できるほど壮大です。
ヤルダンの他にも線形、三日月形、漏斗型、星形など様々な形の砂丘や、
植物の周囲に形成される「ネブカ」という砂丘、流入した海水が蒸発してできた塩原など、
多彩な地形を見ることができる貴重な場所です。
また、生物はほとんど見られない中で新種の淡水性甲殻類が発見されるような一面もあります。
過酷な環境のため調査は難航するようですが、
人の想像を超えるような動植物が存在する可能性には心惹かれます。
立体視設定:1:850万 表示時、垂直倍率50、紙面標高0m、視距離60cm
10月 ワスカラン国立公園(ペルー)
ペルーの自然遺産「ワスカラン国立公園」は標高3,000〜6,000mの高さに位置している
”世界で最も高い国立公園”です。高度によって気候が異なり、
多彩な動植物層や変化に富んだ景観を楽しむことが出来ます。
公園内には「プヤ・ライモンディ」という世界一の高さを誇るここでしか見られない花や、
エメラルドグリーンが美しい「ヤンガヌ湖」、一面に広がる氷河が絶景な「パストルリ氷河」
といった観光スポットがいくつかあります。
そのため、観光の拠点であるワラスからバスツアーが出ているほかトレッキングや登山も盛んです。
ただ、実はこの遺産はある問題に直面しています。
パストルリ氷河を含む公園内にあるいくつかの氷河が地球温暖化の影響で溶けつつあり、
崩壊の危機に晒されているのです。
素晴らしい絶景がいつかは無くなってしまうのかと思うと胸が痛みます。
自然が織りなす見どころの数々に心躍ると同時に、
改めて環境問題について考えさせられる遺産です。
立体視設定:1:570万 表示時、垂直倍率20、紙面標高0m、視距離60cm
9月 フレーデフォート・ドーム(南アフリカ)
フレデフォート・ドームは南アフリカの中央に位置し、
現存する世界最大にして最古級の隕石衝突痕(クレーター)で、
地球史の三大インパクト*1の1つに数えられています。
中央のドーム(衝突により隆起した地形:直径約50km)とそれを囲むリング
(外輪山:直径約190km*2)からなり、形成当時(約20億2300万年前)
は更に大きく、約250km超だったとも推定されています。
恐竜をはじめとした生物大量絶滅の原因とも考えられているチクシュルーブ・
クレーター(直径約180km)と比べても、
その衝撃や影響がどれ位だったかは想像を絶するほどです。
その頃の地球は真核生物が出現した時代で、
影響を示唆する痕跡は残っていないそうですが、
付近には隕石衝突で生じる特有の地質構造が残る場所があり、
インパクトエネルギーのすさまじさの片鱗を見ることができます。
今月のCVESmap縮尺は350万分の1。その縮尺でも、
残された窪みやリングがはっきりと見えます。
夜が長くなるこの季節、地球史を想像して時間旅行もいいかもしれません。
*1:サドベリー・クレーター(カナダ、約18億5000万年前)、
チクシュルーブ・クレーター(メキシコ、約6600万年前)
*2:直径190kmは、現在の距離で、
秋田~盛岡を経て三陸海岸の宮古までもがすっぽり入るような大きさ
立体視設定:1:350万 表示時、垂直倍率100、紙面標高1000m、視距離60cm
8月 大ヒマラヤ国立公園(インド)
「大ヒマラヤ国立公園」は、インド北部のヒマラヤ山脈西部に位置しています。
ヒマラヤ山脈はインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突により形成された褶曲山脈で、
現在も年々高くなっています。かつてインド亜大陸が南の大陸から北の大陸まで移動した結果、
動植物が交換され独自の生態系が形成されました。
標高2000m以下の河畔林から標高6000m以上の高地には大きな標高差のため25タイプもの森林が広がり、
高山の草原、雪解け水の流れる渓谷、川べりの森など様々な景色を見ることができるほか、
ハイイロジュケイやジャコウジカなどの希少種や絶滅危惧種を含む多様な動物が生息する野生動物の宝庫となっています。
また、敷地内には4つの川の水源があり下流の数百万の人々の生活を支えています。
人・動物・植物を育む壮大で豊かな大自然を想像しながらCVESmapをご覧ください。
立体視設定:1:1150万 表示時、垂直倍率30、紙面標高200m、視距離60cm
7月 カナイマ国立公園(ベネズエラ・ボリバル)
6月 イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群(アルゼンチン)
「イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群」は、
白い大地のイスチグアラスト州立公園と赤い大地のタランパジャ国立公園が隣接する自然公園です。
お椀型の岩山の並びがまるで月面のような「月の谷」や、
謎の丸い岩が多数転がる「カンチャ・デ・ボチャス」、スフィンクス似の巨岩、
波打つ形に浸食された岩壁など、自然が生んだ不思議&ユニークな景色を鑑賞できる一方、
三畳紀(2億4500万年~2億800万年前)の自然環境を紐解く化石の宝庫でもあります。
公園内の6つの地層には状態の良い化石が多数見られます。特に恐竜に関しては、
世界最古の恐竜の化石の発掘から「恐竜の時代」の幕開けを明らかにしました。
途方もない年月をかけて自然が生み出した今現在の絶景と、
現在進行中の発見により掘り下げられる太古のロマンと風景。
過去と現在を繋ぐ自然のミュージアムです。
立体視設定:1:670万 表示時、垂直倍率25、紙面標高0m、視距離60cm
5月 グロス・モーン国立公園(カナダ)
グロス・モーン国立公園は、カナダ東部の大西洋上、
ニューファンドランド島ロングレンジ山脈の西側に位置します。
この山脈の南、アパラチア山脈から大西洋をはさみヨーロッパのスカンジナビア山脈以北まで及ぶ山脈は、
古大陸のひと続きの山脈であったと考えられています。公園内には、
大陸が衝突した際に地上に押し上げられたマントル=テーブルランドや、
約3000万年分の地層が折れ曲がり垂直方向に並んでいるグリーンポイント、
氷河により作られたフィヨルドが氷床が消えるにつれ隆起し、
海から切り離された淡水湖ウェスタンブルック・ポンドなど、
プレートテクトニクスによる地球の歴史を実感できる場所が点在しています。
弊社ホームページ内の全球立体斜度図を眺めながら、地球のダイナミズム、
古大陸の痕跡を探して想像するのも楽しいかもしれません。
立体視設定:1:380万 表示時、垂直倍率100、紙面標高0m、視距離60cm
4月 ウヴス・ヌール盆地(モンゴル/ロシア)
3月 ヨセミテ国立公園(アメリカ)
ヨセミテ国立公園は、カリフォルニア州中央部にある世界遺産で、
世界最大の花崗岩の1枚岩「エルキャピタン」やドームを半分に切り落としたような
「ハーフドーム」、ヨサミテ渓谷のU字谷などの多くの絶景でも知られています。
それらは約300万年前~約1万年前までの氷河作用による地形で、
約3000平方km(東京都の約1.4倍)もの広大な公園内は、
今でも9割は全くの手つかずの自然が残され「神々が遊ぶ庭」とも呼ばれています。
人の作りえない壮大な景色の前では、誰もが自然への畏怖を感じずにはいられないのかもしれません。
CVESmapでも山頂から西側に流れる谷(筋状の線)=氷河によるU字谷がはっきり見てとれます。
立体視設定:1:460万 表示時、垂直倍率25、紙面標高0m、視距離60cm
2月 シミエン国立公園(エチオピア)
「シミエン国立公園」は、ラス・ダシェン山を中心とする国立公園です。
標高3000m~4000m級の山々が連なることから「アフリカの天井」と呼ばれています。
昼夜の寒暖差が厳しい山岳地帯ですが、自然環境に適応した貴重な固有種が多数生息しています。
中でも、絶滅危惧種に指定されている高地ヤギのワリア・アイベックスは、
生息によってかつてアフリカ大陸とヨーロッパ大陸が地続きだったことの証明にもなっています。
また、何百万年もの時間をかけて侵食された台地は高さ1500mほどの断崖絶壁や深い峡谷を形成し、
美しい壮大な景色が広がります。崖には生と死の境を連想させる側面もありますが、
だからこそシミエン国立公園の険しさと隣り合わせの自然・
文化には非日常的な迫力が感じられるのではないでしょうか。ぜひご想像の上CVESmapをご覧ください。
立体視設定:1:1530万 表示時、垂直倍率80、紙面標高0m、視距離60cm